• HOME
  • BLOG
  • 人生
  • 知識偏重はNG. シュタイナー教育「身体・感覚・感情」がベースの「知識」

知識偏重はNG. シュタイナー教育「身体・感覚・感情」がベースの「知識」

衝撃の文庫本との出会い

忘れもしない、40年も前の高校3年生の冬。

受験勉強に疲れていた私は、何気なく買った文庫本を読んで、人生観が根底から変わるような衝撃を受けました。

その本は、当時の早稲田大学教授 子安美智子さんの「ミュンヘンの小学生」

子安教授が、当時の西ドイツ・ミュンヘンに滞在された際、お嬢様の文さんを現地のシュタイナー学校に通わせた時の体験談でした。

この本を読んで、私は真剣にうなされ、一日寝込んだのでした。

 

シュタイナーとシュタイナー教育

ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)は、オーストリア生まれの神秘思想家、哲学者、教育者で、シュタイナー教育と呼ばれる教育方法を確立しました。

この教育メソッドは、現在世界各国で展開されており、欧米だけでなく、日本にも学校があります。

本を読んでとても印象的だったシュタイナー教育のメソッドは、

「7X3」の「子供の成長過程」に合わせた教育。

  • 生まれてから最初の7年は「身体と感覚」を育てる期間。
  • 次の14歳までは「感情」を育む期間。
  • 最後の7年間の21歳までに「知識」を吸収する。

 

7歳までの「身体と感覚」、14歳までの「感情」を、しっかり作り上げず、『知識を詰め込んではいけない』という教育方法でした。

 

すでに、中学生の時、高校受験の勉強をしながら、「この勉強、一体何になるんだろう?」と疑問を持ったものの、他の勉強方法も知らず、熱中するアートやスポーツもなく、「ワル」になれるわけもなく、志望大学と将来勉強したいことは早くから決まっていたので、ベルトコンベアに乗って運ばれていくように勉強をしていた私は、

この本に、打ちのめされました。

こんな教育方法があるなんて。。

 

アート重視の教育

シュタイナー学校では、アート・芸術を重視します。

  • 全ての人に共通の教科書はなく(!)、授業で先生から教わったことを、カラフルなクレヨンや色鉛筆を使って『自分で自分の教科書を作る』。
  • 誰もが何かの楽器を演奏する。小さい頃に竪琴などからはじめ、最終的にはオーケストラで演奏する。
  • リトミックという、リズムと音楽に合わせて体を動かす、体操・ダンスをする。

 

学校の運営で授業料は一律でなく、収入の多い人が多く払う。というのも新鮮でした。

日本の一般的な教育とはあまりにも違う、アーティスティックで自由な感覚に、関西地方の一高校生は唸りました…。
東京だったらこういう自由な感じの学園がいくつかあったんでしょうけれど。。

 

実際に見た「自分で作った教科書」

フランス滞在中、米国で3人のお子様方を東海岸のシュタイナー学校に通わせた日本人マダムのお宅によく伺っていたのですが、この時、お子様方が自分で作った『カラフルな教科書』を見せていただきました。

マダムは、「特によかったのが、幼稚園なのよ。まるでおとぎの国。シュタイナー教育では、直線を嫌って曲線にするので全てが曲がりくねっていて、音楽とアートを多用して、ほんとにおとぎの国なの。」と話されました。

 

高3の受験前にシュタイナーを知った外国語学部志望の私は、ドイツ語を勉強してシュタイナー教育を専門に学んでも良かったのですが、「当時の私」はドイツがどうも苦手な感じがして…。ドイツ語は選びませんでした。

 

円は数式なんかじゃないわ!○よ、愛そのものよ!

子安教授の「ミュンヘンの小学生」は、私には全てが衝撃的でしたが、中でも一番の衝撃が、ある女の子の一言。

授業で、円周率を勉強した時、

「円は、円周率なんていう数字で表すようなものではないわ。円は、愛よ。愛そのものよ!」って。

小学4年生の女の子が、こんなことを言うなんて。。。

18歳になる直前の冬。
私は熱を出して寝込みました…。

 

シュタイナーの欠点

大人になって冷静に考えると、「円は愛そのもの!」と言い放った女の子の言葉は、とても観念的で子供らしくない感じがします。

「ミュンヘンの小学生」の後、「ミュンヘンの中学生」など子安教授の本を読み、別の著者のシュタイナーの本を読んで一時熱が入りましたが、ちょっと大人になってから、書店で「シュタイナー教育を受けたものの、あれは失敗だった。」と、ご自分の経験を書いたヨーロッパの男性の本を見つけ、「理想化しすぎてもいけない」と思いました。

フランスの日本人マダムのお宅で、欧州でアート関係のお仕事に携わるお嬢さんにお会いした時も、「シュタイナーもねぇ。。いいばかりとも言えない感じがしました。」とおっしゃっていました。

何にでも、良いところと悪いところがある。両方をちゃんと見る。

ことを忘れてはいけない。

 

「知識がすべてではない」という私の基本

それでも。

17歳の冬、シュタイナー教育を知ったことは、私の人生にとても大きな影響を与えてきました。

『知識や本がすべてではない。』

知識が返って人を殺し、蝕むこともある。

本や知識に囚われて、現実や真実が見えなくなっていないか? 本の中に書いていることは本当なのか? 身体と心を持つ自分を忘れていないか?

 

私は、本や知識が好きです。勉強も好き。(いえ、好きだった。過去形かな?笑)

けれど、人生は絶対にそれだけではない。と思って生きてきたし、今、世の中を見渡し、自分を見つめて、ますます強くそう感じています。

 

 

太陽@水瓶座。フランス滞在中にマルセイユ・タロットを学ぶ。”心と魂の錬金術” をモットーに、明るく軽やかな心と魂で生きる大人のライフスタイルを提案。マルセイユ版タロット、占星術、心理学、禅などがベース。

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

error: Content is protected !!