まだ暗い内に聞こえた、天上から降る美しい鳥の声@フランス

フランスに住んでいた時のこと。
ある夜、まだ暗い内。
もう就寝してだいぶ時間は経っていて、夜中はとうに過ぎていたけれど、明け方とも言えない時刻に、なんだか外から「えも言われぬ美しい音」が聞こえてきて、目が覚めたことがあります。
初めて聞いた音で、しかも、あまりにも美しく、断熱のため二重になっている窓を開け、外を見ました。
窓を開けたら、本当によく聴こえた。とてもとても美しい声。
「これは、本当に、この世のものなのか?この世で聞こえている音なのか?」というくらい美しい声。
でも、何も見えない。
見えるのは、通りを挟んだ向かいのアパルトマンと、夜の帳に閉ざされて深く眠っている街と、まだ暗い空だけ。
でも、どこかから、とても美しい鳥の鳴き声が聞こえる。
本当に、天上で天の鳥が鳴いているように神秘的・幻想的で、魔法の世界から聞こえてくるような気さえする、とても美しい鳴き声。中世ヨーロッパのお伽話の中に迷い込んでしまったような気分。
この鳴き声、2〜3日、続きました。
まだ暗い内に、この鳥の声で目が覚め、窓を開けるんだけど何も見えない。どこかから、天上の調べのような美しい鳴き声が聞こえるだけ。
この2〜3日だけでした。
その後も、前も、一切聞いたことはない。
これが、あの Rossignol なの?
ロシニョールとは、夜鳴き鶯、ナイチンゲール、サヨナキドリ。と呼ばれる夜に鳴く鳥。
YouTube で探して鳴き声を聞いたんだけど、なんだかかなり違う気がする。。
本当に「天上の鳥」という感じだったのよ。
この鳥の鳴き声を聞いたのは、いつだったのか。はっきりした日時は、覚えていない。
夢の世界の出来事。と言われても頷いてしまうかもしれない出来事。
でも、私はちゃんと聞いた。窓を開けて暗い街の空を探した。天から降ってくる美しい音を発する鳥の声。
村上春樹さん流にいうと、「深い井戸の底にもう長い時間閉じ込められ、ある時突然、はるか上方の丸い井戸の入り口から差し込んで、しばらく井戸の底を明々と照らした後、去っていき、もう2度と戻ってこない太陽の光」の「恩寵」のようなものだったのかも。
な〜んて、ちょっと大袈裟に書いたけど(笑)、またヨーロッパに住むことがあったら、聞こえるかもね♡
聞きたい♡
研究テーマにしようと、村上春樹さんをフランスで読み込んでいた時だったのかもしれない。
フランス語でも、日本語でも読んだ。村上春樹さんの小説。
そういえば、もう随分前、仕事で東京に行った時、スキー板のメーカーRossignol の社長さんがいらして(フランス人)、お話しした。
Rossignolの名前が入ったタイトルの本が面白い。って言っていた人もいた。
夜鳴き鶯。ロシニョール。
美しい天上の調べ。
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